つかむ
昼下がりの公園
ランチを済まして仕事場に帰ろうとしたときだった
ふと視線を感じて振り返ると
ベンチに腰掛けたまま、真っ直ぐにこちらに顔を向けた少女の姿があった
「見られてる?知り合いかな」
整った顔立ちであることは遠目でもなんとなくと見て取れたが
こんなときに限ってタイミング悪くメガネは仕事場に置きっぱなしだ
気分でも悪いのだろうか、少し顔色が悪いような気がした
ちょっと心配だからもう少し近づいてみよう もし知り合いなら声をかけてくるだろうから
全然知らない人だったら恥ずかしいな
そんなことを考えながら2歩、3歩と彼女のほうに足を進める
しかしその首だけをこちらに向けたまま微動だにしない彼女の態度には少しばかり違和感を覚えた
「あ」
思わず声が出てしまった
見えたのだ
彼女の顔がはっきりと見える距離まで近づいたとき
そのこめかみには銀色の丸いコネクターが備わっているのが
・・・・・・・
合成音声ソフトUTAUのVOICEBANKであるORIGAMI-Iの歌声にはそんな雰囲気があります
人のような生々しさ、そして機械であることの緊張感
人間そっくりに、人間のように歌うことが必ずしもボーカロイドの魅力ではない
合成音声で、機械そのものであることが魅力なのだ
そんな事を考えて創りました
良かったら聴いてください
http://www.nicovideo.jp/watch/sm33838571
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